コンビネーション

コンビネーション (ソノラマ文庫)

コンビネーション (ソノラマ文庫)

著:谷山由紀 イラスト:まる伝次郎 レーベル:ソノラマ文庫
契約金一億で、即戦力と期待された左腕のスーパールーキー・岡野が入ったチームには、三年前にドラフト5位で入った名倉という選手がいた。常に要領よく、敷かれたレールに乗っていた岡野の目には、名倉はただの不器用な男としか映らなかったが…。6人のチームメイトとひとりの少女の目を通して名倉の成長を描いた、すべての野球狂に贈る珠玉のハートフル連作短編。

絶賛絶版中の谷山由紀のデビュー作となる連作短編集。名倉という選手をその周りの人の目から捉えた作品集です。名倉自身の視点はないものの、周りの視点は雄弁に彼の姿を描き出していると思います。作品は派手な部分や飛び道具などがあるわけではないですが、強いていえば全編にわたって暖かさにあふれた作品というべきでしょうか。何らかの悩みを抱えた彼らをプロという厳しい舞台に立たせながらも、作者は優しく扱っているそのバランスが絶妙です。単体としては戦力外を通告された投手、衰えの見えてきた遊撃手の話が大好きですね。
入手は困難でしょうけど、野球小説が好きな方は是非ご一読を。すばらしいです。
入手に協力していただいた方に感謝。