骨牌使いの鏡1

著:五代ゆう イラスト:宮城 レーベル:富士見ファンタジア文庫
ハイ・キレセスに住む市井の占い師・アトリは、“斥候館”の女主人、ツィーカ・フローリスの寵愛を受けている。館の“花の祭り”当日、“骨牌”を使った占いの最中、アトリを襲った悲劇がすべての物語を語りはじめる。運命的に出会った青年、ロナーに告げられた言葉「おまえは“十三番目”なんだ」。“詞”に反逆する“異言者(バルバロィ)”たちが蠢き、世界の均衡は崩れはじめていた…。
五代さんの作品が3分冊の形で、文庫落ちしました。
タロットになぞらえると分かりやすい骨牌の設定や、ファンタジーとしての独自に作り込まれた世界観が何よりすばらしい。物語が進むにつれ、小出しにされていく世界の謎もますます興味がわくものでした。序盤はとっつきにくい部分もありますが、この設定だけでおつりが来る気がします。
無論、設定だけではなくキャラクター達もそれぞれ強い印象を残しました。それぞれが表に心の一面だけではなく、様々な姿を見せているのが大きかったと思います。物語の中での躍動を感じました。
中でも心に辛い記憶を抱え、幸福な世界とそれの崩壊を体験しながらも、アトリが迷いながら前に進んでいく姿がいいです。彼女の揺れ動く細やかな心理描写も、より魅力的に感じさせるものでした。世界の謎と共に、アトリのこれからがとても気になるところです。
次は3ヶ月後とは…もっと早いほうが良かったなあ。早く次を読みたい。