化物語(上)

化物語(上) (講談社BOX)

化物語(上) (講談社BOX)

阿良々木暦を目がけて空から降ってきた女の子・戦場ヶ原ひたぎには、およそ体重と呼べるようなものが、全くと言っていいほど、なかった!?


西尾さんの新作。短編三本という構成で、人とは違う力を持つはめになった主人公が、周りの人たちにおきる妖怪騒ぎに巻き込まれて(首を突っ込んで?)解決していくお話。以前よりさらにキャラクター重視のつくりがされています。
西尾さんの一番の特徴といえるだろう主要成分の半分ほどを占めている、言葉遊びを多用したテンポの良い掛け合いが笑える。日常会話に絶対出てこないような単語がぽんぽんと。また、全体を通して戦場ヶ原ひたぎがヒロインの役回りですが、自身の悩みが解決した後に、クールに毒舌を振るいながらも、大切な一言を主人公に唐突に放ってくるその姿は破壊力満点です。彼女に作品の印象の大半をもってかれてる気が。
捻くれ者で毒舌もとい直截的に物を言うひたぎ、一姫を思い起こさせる言い間違い小学生真宵、そしてバスケ部キャプテンの、何をしても主人公を礼賛してほめ殺して来る百合少女神原。こいつらの相手をしなければならない(常識人の)主人公は疲れるだろうなあと思いつつも存分にわらかしてもらいました。
そんな軽いノリで物語に引き込みつつも、彼女達が抱える怪異がらみの悩みは重くて、浮かれたところに持ってくるそのさじ加減もまた上手い。単独の話として一つで完全に終わるのではなく、連作という形を取った強みも(後々の話に影響してくるので)存分に生かされていると思います。全てが元に戻ることはないけれど、ポジティブな終わり方もさっぱりとして良かった。
西尾さんのいつものノリが好きなら買って損はないというか、お勧めで。暦の過去と絡む忍の話は出るだろうけど、委員長の話は下巻で出てくるかなあ、楽しみ楽しみ。