けんぷファー〈1〉

けんぷファー〈1〉 (MF文庫J)

けんぷファー〈1〉 (MF文庫J)

能ナツルは平凡な高校生…のはずだったが、ある朝目覚めるとなんと女の子になっていた!しかも、かなりの美少女に。さらに、鏡の前で驚いているナツルに話しかけてくる存在があった。それは憧れのクラスメイト・沙倉楓から貰ったちょびっと趣味の悪いぬいぐるみ。そのぬいぐるみによると、ナツルは「ケンプファー」と呼ばれる戦士に選ばれたらしい。世の中には、同じく「ケンプファー」となった人間が存在していて、ナツルはそいつらと戦わなければいけないというのだが―。


TS物+ラブコメ=百合?な作品。ケンプファーに選ばれて女性になってしまった主人公と、彼と組んで戦うことになる、戦闘時には性格が反転する内気な眼鏡少女紅音の物語といっても差し支えないようなお話。まだ一巻目ですので。
女の状態の自分があこがれの女の子に惚れられて、にっちもさっちもいかなくなっている主人公の姿(男に戻れます)とその涙ぐましい努力が笑えて切ない。自分の恋愛以外の部分については鈍いのはお約束ですかね。
ケンプファー同士の戦闘についてはこいつら本当に殺し合いしてるはずなのかってぐらい緊迫感が希薄。ばかばかしいまでに希薄。なもんで戦闘シーンに入っても笑いながらみていられました。性格が反転すると口がとたんに悪くなる紅音と主人公のコンビの掛け合いがイカス。日頃の内気な姿もいいですが、反転した紅音の罵詈雑言のオンパレードの部分と、気持ちの読めない主人公を前にしてぶっきらぼうになってしまうところとのギャップが魅力的です。
また、まぶらほのB組の仲間たちが見せた黒さと同種の黒さを見せている、主人公のアドバイス役のぬいぐるみのセップククロウサギと紅音のアドバイス役のハラキリトラも好き。ああいう茶々を入れてくるキャラクターは面白くていいです。微妙にブラックだし。
ケンプファーの設定はほとんど明らかになってないし、物語も混沌として全貌が明らかになってないけれど、次巻でまた爆弾投入ですか。とりあえず幼馴染みの彼女とは家で鉢合わせてくれると面白そう。このネタ多め、コメディ分多めのノリで突っ走ってほしいところです。