バード・ハート・ビート 夜姫天炎!

念願叶って、国定騎鳥選手見習いとなったテオだが、あいかわらずの無茶な飛翔で勝利に手が届かない日々。一方、テオの協力で天都入りしたアークの王女・リーンはシュアル王との婚礼時期未定のまま、城内で厳しい花嫁修業を受けていた。そんな折、天都で貴族を襲う “三叉羽の幽霊”が出現し、状況証拠からテオが容疑者として捕らえられてしまう! 真犯人を巡り、再び出会うテオとリーン。事件の裏に潜む陰謀を探るために二人は極秘裏に探索に出るが……。


先月の新刊予定を見て一番驚いたのがこの作品でした。というか、2年も間が開いて続きが出るとは思わないよ。これまでの作品と同じように打ち切りなのかと思ってたので、本当に嬉しいです。
あれ、アマゾンの紹介コピペしてたら感動の完結編とか書いてあるけど、そんな…。
つーことでお久しぶりの2巻。相変わらずバカで真っ正直のテオと、アークの王女としての誇りと皆に対しての愛情を持ち、一度決めたことを曲げないリーンのコンビが織りなす直球のストーリーが熱いです。テオが自分の気持ちを自覚して、リーンの為に自分は飛ぶということを自分の中で誓うくだり、リーンが自らが王家の責任を一身に負うと宣言するあたりがとても格好いい。リーンがどんな少女か分かっているが故に1巻ほどのミステリアスな部分は無くなりましたが、物語に漂う緊迫感は変わらず。
また、テオと離れた時に現れる、テオの愛鳥ミルヴィルの心情を描いた部分も、(ミルヴィルはとても喧嘩っ早くて勝ち気な鳥なんですが)1巻の時と同様テオに対しての愛情に溢れていて(取りようによっては恋人を心配しているみたいで)魅力的な部分。日頃いがみ合っているようで、別れているときや、ともに一体となって空を飛んでいるときは心が通じ合っている姿が好きです。ともすれば本筋のお話以上に。
お互いの大切さを自覚した二人だけでなく、テオをずっと好きな幼馴染みのララと、彼女を好きということを告白したイスカ、そしてリーンの嫁ぎ先のシュアル王のお付きのメイドのカルロッタと人間関係に変化が生まれてきて、まだ続けられそうなのだけれども、もう出ないのか、もう出ないのか…。前作では一応の終止符を打っていたけど、「その先」を見せられると続きが無性に読みたくなります。お慈悲をー。冷静に考えると毎回これだけの大ネタをふるうと後を続けるのはなかなか難しい気もしますが。
しかし、作品検索してて思ったけれど、BIOMEでデビューしてもう6年なんですね。最近は本屋でも古本屋でもあまりお見かけしないのが残念。