ようこそ女たちの王国へ
- 作者: ウェンスペンサー,エナミカツミ,赤尾秀子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/10/24
- メディア: 文庫
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男と女の人口比が、驚異的に男の子が多い主人公の家族ですら1:5あるいはそれ以上で世界的には男は5パー以下というぶっとんだ世界。結婚は家ごとで、複数の姉妹が一人の男性をシェアするというものです。ただ、設定だけ見て、いやっほーいハーレムだー。とか思っているとなんか痛い目見ますぜ旦那。
なんせ舞台は圧倒的な女上位世界。男の子は家の財産もしくは種馬のような扱いで、何とも切ない。余所に奪われないため屈強な姉妹達がまもる中、男なら普通受けられない教育を受けて不自由なく育てられてる主人公達はとても幸せな方で、攫われてソープよろしく悪所に身を沈めさせられるなんてエピソードはぞっとしません。欲望を強調してるのか、それとも子孫に直結することが大きいのか、性の話がぼかしてはいるけれど直截的に出てきて何とも生臭い。王家に婿入りをするに当たって、王族の血を引いていることとか家の格式が問題になるあたりはこの世界にも相通ずるものがありますが。
そんな中で、玉の輿のチャンスを得たジェリン君なわけですが、先に来るのが、自分でどれだけ家がお金を稼げるのか、とか自分の姉妹達が幸せになれるかなんて、家のことを第一に考える姿はけなげ。そして、彼の姉さんたち(特に長姉)は男前とくると、男女の比率がこうなると、誇張して描いてる部分はあるんでしょうが、こうなるのかなあなんて考えさせられてしまいます。余所様の感想を見ても出てるけど、ちょっと優柔不断だけど芯の強いジェリン君は頑張るヒロインな感じで捉えるとしっくりきますね。王家の裏での陰謀も、攫われてからの脱出劇も愛の力で乗り越えていくわけです。
ということで、闘うヒロイン(笑)ジェリンと、王女姉妹のロマンスという形で手堅くまとめられたお話でした。すぐベタ惚れになる長女はおいといて、段々とジェリンとうち解けていく王女姉妹の姿が良かったです。