精霊探偵
- 作者: 梶尾真治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/01/29
- メディア: 文庫
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梶尾氏の文庫落ち。一見推理ものに見せかけて、別に推理ものじゃないというか、SFでしょうかこの作品?とりあえず帯を書いた方は今一なものだと思います。どんでん返しはいいさ、確かにあったから。でもあの謳い文句を見たらセンチメンタル方面かと思うがなー。
熊本を舞台に背後霊が見られるようになった中年の私と、その力で助けてもらって強引に助手に立候補した小学生の小夢ちゃんが探偵役として行方不明者を捜査する前半は非常にいい。小学生にしては大人びた小夢ちゃんに振り回されてあたふたしている私のコミカルさと、調べが進むと表れる敵の薄気味の悪さというものがうまく出ていると思います。特に背後霊に聞きこみをしながらの捜査というのは独特で楽しかった。背後霊の中でも黒猫がいい感じです。
後半のホラーテイストな展開も良いと思うんですが、物語の収束の仕方がなんとも奇妙な味といった感じ。帯のおかげで消化不良なイメージを引きずってるんで、結末はちいとばかし好みではないという印象なんですが、「こちら側」の登場キャラクターがみんな魅力的な存在だったのが作品の魅力だなと感じさせてくれる作品でした。