イリスの虹

イリスの虹 (電撃文庫)

イリスの虹 (電撃文庫)

著:七月隆文 イラスト:平野克幸 レーベル:電撃文庫
あたしは平気。どんな感情も“書き換えられる”から。
 平凡な高校生・唐崎省吾は、街で頻発する連続失踪事件の現場に遭遇する。翼の生えた怪物『ハーピー』が、人々を消していたのだ。怪物に襲われた省吾は、間一髪謎の美少女に助けられる。入州帚(ほらき)と名乗った少女は、消えた人々は殺されたのではなく存在の『情報』を喰われたということ、そして獲物を逃したハーピーは、省吾を狙うだろうということを告げられる。消されてしまった友人の『存在情報』を取り戻すため、省吾は囮として帚と行動を共にする決意をするが……。情報を喰らう怪物ハーピーと、情報の『ささやき』を見ることの出来る少女の闘いに巻き込まれた少年の運命は!?

わーい、今田が戻ってきたー。設定を見ると某作品の二番煎じでありがちの感が強いが、人物の心情描写の丁寧さが今田らしさを感じさせます。七月名義の前二作品のギャグ中心のノリがちょっと自分にはきつく感じられたので、これはうれしい。話の展開は結構よくあるものだけれども上手く話が収束していて、さらに感情を書き換えるという設定がヒロインの魅力を引き立てるのに上手く役立っていると思います。少し物足りないと思ったのは、敵役であるハーピーの心理描写の部分が少し強すぎる為、完全な敵として扱いづらくなってしまった点でしょうか。感情移入してハーピーが可哀想に感じてしまったのだから、そちらの面としては成功なのかも知れないのでしょうが。シリーズものとしてやっていくみたいなんで、(電撃では)3度目の正直を成功させてほしいなあ。
売れればAstralの続きも…と妄想。