神曲奏界ポリフォニカ ウェイワード・クリムゾン

著:榊一郎 イラスト:神無月昇 レーベル:GA文庫
精霊が力を持つ世界があった。彼らは神曲楽士の奏でる楽曲を糧とし、さまざまな力を発揮する。そんな精霊たちと契約し、彼らを操ることのできる者は『神曲楽士(ダンティスト)』と呼ばれていた。新米神曲楽士のタタラ・フォロンは、キュートで最強の精霊コーティカルテと契約をしてはいるものの、安定した神曲が扱えず未だに見習い楽士。そんな彼に、精霊の放つ力“精霊雷”を集める初仕事が舞い込んだ。張り切るフォロンに、普段は何かとうるさいコーティカルテも、この時ばかりはなにも言わず素直に協力してくれたのだが……。榊一郎の奏でる、ファンタジーな楽曲が、いまここに響き渡る!

お仕事大好き榊氏のGA文庫創刊の一作品。後書きでは本来自分で執筆する予定ではなかったが突貫作業でやることになってしまったらしい、自身が脚本をつとめるキネティックノベルから派生したノベライズという異色の作品です。音を使って精霊を利用する設定は面白いんですが、惜しむらくはコンセプト的に文章媒体が向かないところでしょう。音を文章で表わしても感興を受けないんですよね。また、キネティックノベルの続きとして書かれているので、最初の作品としてはいまいちな点もあります。実際自分がそっちの方をやってみたくなったみたいに、客を呼び込む意図もあるんでしょうけど、単体としてはちょっと。事件の裏に謀がまだあるみたいですけど、出るとしたらどんな形で出す気なんでしょうか。ノベルの方で出てるのかも知れませんが、幼いフォロンとコーティカルテの出会ったシーンをきちんと見てみたいです。