哀しみキメラ
- 作者: 来楽零,柳原澪
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/02
- メディア: 文庫
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エレベーターが止まった。閉じこめられてしまった矢代純は、乗り合わせた三人の男女、十文字誠、水藤深矢、早瀬綾佳と共に、狭い箱の中で異形のものに襲われる。その不可思議な体験以来、純たちの体に変化が起こり始めた。傷つかない体、突然回復した視力、幽霊が見える目、そして、いくら食べても満たされない飢え。戸惑う純たちの前に、モノ祓い師であるという七倉和巳が現れる。そして彼は告げる。エレベーターの中で遭遇したのは、人間を喰って生きる<モノ>であり、彼ら四人の体は今、その<モノ>と融合してしまっているのだと──。
電撃小説大賞金賞受賞作。この系統の物は、人であったものがヒトでなくなってしまう哀しみや悩み、葛藤とその元となるイベントといったものがちゃんと描かれているかが重要だと思うのですが、基本が抑えられていたのでキャラの言動に違和感を持たずに読むことができました。
作品の中身が物語の最後の事件に収束していく間を飛び飛びに描いているので、ぶつ切りの部分があってそこまで感情移入して読むという感じにはならなかったのが惜しいですかね。あと欲を言えば各人の背景に対する思いや感情がもうちょっと見たかったかなあ。どうも書き割りの印象が強くて。作品としては手堅くまとめた作品という印象でした。しかし最後に幼馴染み負けたかぁ!残念。あそこでくっつけば(自分が)うれしかったのに(笑)構成上無理なのは分かってるんですけどね…