イケニエのヒツジ THE SACRIFICE 1st.HALF

著:榊一郎 イラスト:藤城陽 レーベル:富士見ファンタジア文庫
トリスタン市では、魔法と関係のない人たちが、ある日突然魔族化するという謎の事件が頻発していた。「“黒騎士”に呪われると魔族になる」隣の人間がいつ魔族になるか解らないという緊張感から生まれた街の噂で、人々は静かに恐慌状態に陥っていた。そんな中、深夜の街角でレイオットは異形のものに遭遇する。半人半馬。神話に出てくるケンタウロスのように、高貴さを持ちながらも魔族のような禍々しさを併せ持つ異形。まさかこれが“黒騎士”!?レイオットの前から一瞬にして姿を消した異形のもの。この時のレイオットはまだ知らなかった、この出会いが、彼を最悪の事件へ導くことになるのを―。榊一郎のハードボイルドファンタジー

シリーズ七冊目。タイトルから分かるように前編です。ストジャは結構ひさしぶりですね。話がいいところで終わっているので、単体として評価はしにくいです。
一貫したシリーズのテーマが差別だけあって、今作も重い。これまでにも描かれていた魔族化した人間の関係者への差別というものが、扇動によってこの作品で完全に表に吹き出してきた格好です。人間の悪い面が表に現れることによって、魔族と戦っているはずのレイオット達の敵が魔族だけではなくなっているのも面白い。
ただ、テーマを重ねがけしているゆえか、ちょっと間延びをしている面も否めないので、後編はもうちょっとすっきりしていると嬉しいかな。黒騎士との戦闘の展開を含め、敵が表に出だしたんで、楽しみにしてます。
回る回る〜の魔族の歌に吹いた。