天空のアルカミレス

天空のアルカミレス (電撃文庫)

天空のアルカミレス (電撃文庫)

著:三上延 イラスト:純珪一 レーベル:電撃文庫
繁栄を続ける人類文明の陰で、静かに歴史に埋もれていくはずだった闇の眷属──《獣(テリオン)》。だが何者かがもたらした《戦器(オニクス)》が、彼らの運命を変えた。本来の力と本能を取り戻し、再び人を狩る存在となったテリオンを前に、人類に為す術はなかった──。拓也は、兄妹同然に育った礼菜と共に東堂学園に通う平凡な高校生。だが転校生・日向子に心惹かれたときから、彼の日常は崩壊してゆく。街に跳梁するテリオンの影、そのテリオンを追っているという日向子──。そして失われていた幼い日の記憶を拓也と礼菜が取り戻した時、運命の輪は回り始める!


三上さんの新シリーズ。人に似た存在であるテリオンと戦う少女日向子と、礼菜と一緒の雪の日に拾われ、それまでの記憶がないものの普通に暮らす拓也が出会い、動き出す物語。
設定だけみると、ボーイミーツガールと思えるんですけど、違う方向に持って行くのがこの人らしい。流石幼馴染み作家。これまでの作品の傾向を考えると、礼菜がテリオンを打倒するための武器を扱う力を持っているかと考えたのでその辺りの展開は意表をつかれました。
冷たい態度をとるので怖い人かと思いきや、実はとても素直な日向子と、主人公に憎まれ口を叩きながらも親身な礼菜の二人のヒロインのキャラクターが魅力的でした。
暗めの世界観の中でも、序盤は話も平和的なので、この巻の雰囲気は比較的明るめですが、この先暗くなりそうなにおいがします。強者であるテリオンに対峙する人間の痛みがよく表われた作品でした。この先も期待。