不思議使い2

賽穏寺未嗣の下駄箱に差出人のないラブレターが入れられていた。それを見つけた、花子さんズの椿子の菫子は比較的冷静に見たものの、杏子は「神託」さんで差出人を探そうと言いだし、思いもかけぬ愉快な反応を見せていた。その頃、未嗣と同じ祉河原東中に通う鮎崎伊都美は雨の日、廃校になり取り壊しを控えた北野原中校の校舎から奇妙な「呼び声」を聴く。この北野原中はもともと菫子がいた学校だった。そして時を経ずして祉河原東中に奇妙な噂が流れ始めていた。いつしか階段の踊り場を訪れる多くの女生徒たち。いったい何が始まっているのだろうか!?


シリーズ2冊目。恋をかなえるキューピッドの幻象が学校にやってくる話です。菫子がメイン。
最初は意外と平和に解決するのかなという感じだったのですが、まあそう簡単に人を好きにさせちゃあいけませんよねということで。本人の意志を曲げることでもありますし。
テーマが恋ということで、話の本筋に恋の話が大きく絡んでくるんですが、主人公に惚れる(物語の発端になる)少女は書いてある部分が少ないんでいまいち。杏子の主人公が好きなのに言い出せない不器用な姿はほほえましかったです。委員長も意味深ですな。
中学校という一種の閉鎖空間での恋愛とおまじないの親和性が話のきもに上手く使われていたと思います。
主人公達に敵対するような、幻象を敵視する存在も現れ、今後も大いに期待。
人に知覚されなければ存在し続けることが出来ない幻象のあり方が、切なくなる部分がありました。