GOSICKs Ⅱ

少女は白いドレスを着て、緑の絨毯の上で待っていた。草いきれすらも、心地よい。会えるのだから。二人しか、ここには居ないのだから。そう、陶製の人形のような少女―ヴィクトリカは、今日も彼が来るのを待っている。少年・久城一弥が、かけてくるのを。芽吹いた緑たちが。噴水からこぼれおちる水の青が。そしてそれらを照らす陽の赤が。すべての色が輝きを増し、光に包まれ、命が生きようとする季節―夏。やがて訪れるであろう崩壊と、別離を前にした一瞬の平和―刹那。二人だけの学園にて、一弥とヴィクトリカは同じ時を生きる。世界を語る。謎を―混沌のむこうにある心を知る。そして、お互いを思う。ひと夏の間に重ねられる、淡い逢瀬の物語。ゴシック・ミステリー短編集。


九城とヴィクトリカの二人+αが過ごす夏休みの短編集。と見せかけて関係者達の物語でもあります。
手紙のやり取りという形で謎の提供をするスタイルは、広がりが感じられていいですねえ。
「初恋」のグレヴィールはその一途さがいい!「夏から遠ざかる列車」のセシル赤毛の寮母・ゾフィの過去話が面白かったな。「怪人の夏」での九城の姉・瑠璃の弟ラブの様子もなかなか。こう言うと悪いのかも知れませんが、謎解きよりもキャラクターの魅力が前面に出ていました。
夏休みで普段の学園とは違う、九城とヴィクトリカ二人だけの世界といった感じが新鮮でした。1話目の冒頭で旅行に誘ったのにら振られてしまうアブリルは不憫だけど。
本編の方がシリアスな展開に動いてる今、清涼剤みたいな感じでした。

そういえば、この前買ったドラマCDはヒロインの声が普通でなんかしょんぼり。