抗いし者たちの系譜 虚構の勇者

彼が私を認めたのは情愛からではなく、好敵手として。ならば理を以って謀る限り―彼は眼差しを向けてくれる。「私の軍をラジャス閣下に預けます」胸の奥に情熱を秘め、元勇者にして現魔王、そして統一帝国皇帝たるサラ=シャンカーラは、そう宣言した。現魔王に対応する勇者が存在するはず―サラへの反逆ともとれる内容の書簡に端を発し、揺れる帝国上層部。それぞれ思惑を持つ重臣たちから、勇者候補として元魔王ラジャスの名が上がった時、事態は動く。暴走する“勇者探し”抑制のため、サラはある手段を講じるのだが…。そして2人が三度邂逅する時、明らかになる“真の勇者の姿”とは!?謀略のラブ・ストーリー、第2幕。


マジで二巻が出せる設定だとは思ってもいなかったんで、どうなっているのか楽しみでもあり、心配でもあったこの作品。ストーリーとしては魔王を打倒する人間の勇者が現れたという噂が流布され、その犯人捜しというお話。挿入されている過去話はあまり要らない気がしないでもないです。
魔王を倒すのは勇者という面白い発想のもとに犯人捜しと勇者捜しの駆け引きが行われる中で、現体制に対しての敵役として出てくるものがいるんですが、元魔王と勇者であり現魔王の二人が能力的には突出した扱いを受けているんで、他のキャラクターの扱いがいまいちになりがちなのが残念なところ。ただ、前巻ではなんのためにいたのか分からなかった人を活用出来てるのは良かったです。布石になりそうな脇キャラ達の登場がこの先への興味をかき立てられます。
現状サラの片思いという状態なので、二人がふれあう部分が多くなりそうな次巻で競い合う関係の中に恋愛要素をどこまで絡めていくのか楽しみです。
冒頭に年表がある作品は久しぶりにみた気がする。