ねじまき博士と迷い猫

ねじまき博士と迷い猫 (ねじまき博士シリーズ)

ねじまき博士と迷い猫 (ねじまき博士シリーズ)

少年博士のアレックスは、カラクリつくりの天才だが、愛くるしい外見とは裏腹に、人間嫌いの変人で偏屈な性格。研究の邪魔をされるのが何より嫌いだったのに、行方不明の祖父のせいで、森の動物に育てられたリーという野生児をひきとることに。リーが屋敷に来てからというもの、次々起こる大騒動に博士は振り回されてばかり。おまけに博士はリーが実は女の子だとは気づかないままで…。


樹川さんの新作。ほんとはとても心優しいけれども、意地っ張りでその姿を人に見せようとはしないアレックス少年と、動物に育てられた為に常識を知らない強気な少女りーのライトコメディーなお話。ちょこっと出てくるけど世界設定などはあまり気にならないです。
憎まれ口を叩きながらも、リーについて考えてあげているアレックス少年がいい味を出しています。リーの視点からそのことが描写されることが多くて、あまり伝わらずとてももどかしい気持ちにさせられました。ただ、そういうものはあとできちんと伝わるので、言葉がしゃべれることが分かってからの、リーのアレックスに対するおちょくりっぷりは、微笑ましいという表現がぴったりでした。
そして執事やメイド、アレックスの友達など、脇でこの二人を見守っている人々がとても優しい。中でも二人をさりげなくフォローして回るカボチャの姿をしたロボット・ジャックが素晴らしいです。
この不器用な二人のお話、中途半端なところで終わっているので続きが是非読んでみたい。