狼と香辛料Ⅱ

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)

狼神ホロとの二人旅を続けることを決めた行商人ロレンス。港町パッツィオでの銀貨騒動で儲けた上等な胡椒を武器に交換し、異教徒の地への玄関口、北の教会都市リュビンハイゲンで大きな商売を仕掛けた。しかし思いもかけない謀略に嵌ってしまう。賢狼を自称するホロでも解決策はすぐには見つからず、時と運にも見放されたロレンスは、商人生命を絶たれてしまうほどの窮地に。何とか秘策を思いついた二人は、リュビンハイゲンへ向かう途上で出会った羊飼いの少女にある任務を託すのだが…。


シリーズ二巻目。相変わらずロレンスはホロの手玉にとられてばかりですね。老獪なホロをどうにかしてやりこめてやろうとして、完全に逆手にとられてしまうじゃれてるようなやり取りが何とも心地よい。相手の言葉を本気にとるとやけどしてしまうような言葉。食べ物につられてしまう姿。意味深な発言。この巻で出てくる羊飼いの少女へ、ロレンスの心が軽く揺れかけたあたりでは全く知らん振りをして、後でそこを確認するような、時折弱気の姿もみせる。そんな一挙手一投足に引きつけられてしまうわけです。
女だてらに羊飼いというきつい仕事を将来のために、苦労を厭わずに頑張る羊飼いのノーラも良かった、というかこっちの方が好みかも。一本芯が通った彼女も是非とも続巻にも出して欲しいと希望する次第です。
筋の方も前巻と比べても、窮地を打開する為にとる金の密輸という手段が、窮地に陥っているということが分かりやすく、スリリングな感じを味わわせるものでした。また、その解決方法に行き当たるまでのどん底をはい回る部分も、窮地に陥り、誇りを枉げてでも頑張る後半の部分もあるゆえにこの作品をいっそう輝かせるんだなあと。
いつもはあからさまにはしないものの、ホロとロレンスのお互いの事を思いやる姿、そして商人の取引の静かなバトルでも魅せてくれる作品でした。