鋼殻のレギオスⅡ サイレント・トーク

汚染物質が生態系を破壊し、人類は世界から隔絶された“自律型移動都市”で生きている。その中のひとつ、学園都市ツェルニの武芸科新入生レイフォン。―発端は彼が故郷に残してきた幻馴染みのリーリンからレイフォンに宛てられた手紙。偶然手にして、そっと開けてしまったひとりの少女だった…。そんなことはつゆ知らず、レイフォンは小隊長ニーナとのぎすぎすした関係、さらに「戦う」ことの意義について悩み中。一方ニーナも「強さ」とは何か、自問自答する日々を送っていた。そして手紙は、気まぐれな風のようにあちらこちらと飛び回り―。強烈大ヒット、最強学園ファンタジー第二弾。


今回のメインに据えられているのはニーナ。自分が強くなれば、チーム戦での皆の弱さを補うことが出来ると考えて、悩みながら頑張りすぎてしまう彼女(とレイフォン)の成長が描かれています。最強という存在と明確な敵をを見せつけられたゆえの焦りからくるのだろう、その悩みはとても青臭くてそれでいて自然。なんか共感してしまうんですよね。
作品中の(特にニーナとの)やり取りを通して、前巻で何もかも振り切ったわけではないとはいえ、レイフォンは少しずつ変わりつつあるんだなということが現れて嬉しくなってしまいます。それでも最後には説教を受けてしまうのはご愛嬌。チームの周りの皆の変わりつつある姿も描かれていたのも良かったなあ。
ニーナの話だけではなく、他のヒロイン陣もいい味を出しております。料理イベントなんてベタなーと思いつつもニヤニヤしてしまうのはなぜなんでしょう。クールを装いつつ、自分をよく見せようとするフェリはいいですねえ。あ、健気なメイシェンも一応、まあ影が薄いのは否めませんが。
話の方ではレイフォンの故郷から届いた手紙が、彼の元に届くまでの紆余曲折を経る途中で様々な波紋を引き起こす構成は上手いなと思いました。一巻の方でも効果的に手紙が配置されていましたが、きっかけを作るという部分での今回の使われ方も好きです。
最強であっても個人の「強さ」だけでは勝てないということを、上手く示せた作品じゃないでしょうか。チームとしての戦い方を分かりだした彼らのこれからが楽しみです。