護樹騎士団物語Ⅳ 熱闘!入団競技会

ブーツの靴音を響かせ、大理石の床をその人物はやってきた。肩までの髪に、白銀の騎士服。最初は『華奢な少年』という印象だったが、テーブルの陰から全身が現れると、短いコスチュームだと分かる。そしてテーブルの蝋燭の光でその面があらわにされると、印象は驚きに変わる。女の子……!? 僕は目を見開いた。いよいよリジューが護樹騎士団に入団する試験から始まるストーリー。


リジューが当主におさまってから2年、護樹騎士団の入団競技会が開催され、リジューも参加することに。
世界に壊滅的な打撃を与えた大接触から二万年もたってこういう世界なのはどうなんだとは思うけど、もう世界観にはつっこまないぞ。
これまでの作品が数日間を描くのに三巻を費やしたのに比べて、かなりテンポが上がって読みやすくなってます。これまでから考えて、入団試験を一巻で片付けるとは思わなかった。お金がないためにろくに修理も出来ずにボロボロの機体を操って、お金持ちで機体の状態も万全な上に、力もあり、審判のひいきもあるという対戦相手に対峙するというのは燃えるものがあります。それ故に最後の戦いが省かれたのはちょっと残念ですが、既刊に比べても一番面白かったなあ。なんか、彼らが試験を行う会場で公式の弁当や水やらを売りつけられて、お金を巻き上げられている姿も妙なリアリティがあってわらかされました。
また、ライバルとなる守護騎の乗り手という、これまでに比べたらヒロインぽいヒロインも出てきたんで嬉しい。騎士団にはいってからのお話も楽しみ。
けれども、この先どんな方向に話を進めるのかさぱーり分かりませんな。冒頭の書面を手に入れた学者の話だと10年以上たっても世界の情勢は良くなっていないみたいだし。ラストに明かされた滅びたはずの異世界のお話が関わってくるんでしょうか。