ゼロの使い魔8 望郷の小夜曲

才人はある日突然使い魔として異世界に『召喚』されてしまった高校生。魔法使いの可愛いご主人様・ルイズが従軍したアルビオンとの戦いで、ルイズを逃がすために戦った才人は、大怪我をして意識を失ってしまう。倒れていたところを金髪の美しい少女に助けられ、なんとか一命をとりとめた。少女の名はティファニア。森の中で隠れるように暮らしている彼女は、特殊な生い立ち故に臆病で恥ずかしがり屋だが、献身的に才人の世話をしてくれる。一方、学院に戻ったルイズとシエスタたちは、才人が死んでしまったのではないかという不安と哀しみにとらわれていた―。二人の運命はいかに!?


八冊目ー。
皆が戦争によって喪ったものの大きさに、悲しみに暮れるという感じ。自分のせいで才人を喪ったことを悔やむルイズと、ガンダールヴとしての力を失い、もうルイズの側にいられないと思う才人。その二人だけでなく、戦争を起こしたアンリエッタや友人のギーシュがそれぞれに悼んでいる姿が描かれていたのが良かったです。それがあるためにルイズと才人の再会とその後の一連のシーンがより映える。
才人についてはどうも都合の良い夢を見ているところや、浮ついているところが雰囲気を壊しているので、なかった方が良かったんじゃないかなとは思いますが。
ストーリー的には虚無の使い手という存在について全貌が明らかになってきて、才人が故郷に戻る方法を探すことを含めて新しい展開がありそうですが、完全にお互いの気持ちを分かってしまってこれ以上じらし展開はなさそうな二人の関係は、どうするんでしょうか。熱々のカップルの話になるのか?
ルイズの独白で、秘めた思いの強さを感じさせられる一冊でした。シエスタは報われないなぁ。