イコノクラスト!4

イコノクラスト!(4) (MF文庫J)

イコノクラスト!(4) (MF文庫J)

今は亡き神の呪いに満ちた異世界に「救世主」として召喚された平凡な高校生・香芝省吾。しかし、救うべき民衆をも巻き込んでしまう、あまりに苛酷な戦いは彼の精神と肉体を蝕む。やがて省吾はイコノクラストへの搭乗を体が拒絶するほど疲弊する。それに追い打ちをかけるように、状況を危惧した秘密結社「レネゲイド」が省吾を御するために、従姉妹の花梨を人質に取る。絶望と猜疑の中、省吾は変貌していく。「私は…姫巫女…ショウゴ様に身を捧ぐ…姫巫女」美しい少女メリニは救世主を篭絡し手綱を握るという姫巫女の職務を全うしようと、荒々しく変貌してしまった叫び続ける省吾の部屋へと向かうのだった。


4冊目です。ここまで踏み込んで書くとは、ビックリしました。まあ、その描写は流石に薄めでしたが。
この巻のメインは、精神的に破綻しかかった省吾の復活であると同時に、一部の姫巫女たちの心の変化でもありました。それ故か前巻での省吾の心の壊れ具合から考えると立ち直りが意外とあっさりとしたもので、逆に姫巫女(特にメリ二)との心の結びつきが大きくクローズアップされた感じで。
それがよいのか悪いのかは分かりませんが、それまでのことを考えると少々肩すかしを食らったような感じはなきにしもあらずといった感じでした。囚われの身になっている花梨が心の支えであるというかんじだったのに、あっという間にメリニがその部分を占めてしまったからなあ。これで裏切られたら凄いことになるんでしょうが。前巻までは暗さしか見えませんでしたが、先行きは明るいかな?
お話の本筋の方はそれまでの神の代行者対巨大ロボットではなく人間対巨大ロボットの戦いがメインで、自爆テロを敢行してくる姿は確かに現代日本人には受け入れられないよなと思ったり。省吾は動じなくなっていましたけど、その先があるのではなく、死しか救いがないというのは結構凄惨な教義ですね。