殺×愛3 ―きるらぶ THREE―

殺×愛3 ―きるらぶ THREE― (富士見ファンタジア文庫)

殺×愛3 ―きるらぶ THREE― (富士見ファンタジア文庫)

「サクヤを殺しなさい。あなたの手で」僕と対なる存在・アダムと名乗る少年は、笑みを浮かべたまま続ける。「できるでしょう。この街のためなら」―そう、僕は、彼女を、犠牲にできる。壊れていく世界を救うために、僕を殺しに来た対天使兵器の少女・サクヤ。この対天使兵器の存在価値は、“あの人”との約束を実現する道具たること。だから僕は、きみを犠牲にできる。なのに。記憶の欠片に宿る“あの人”が、僕のココロに囁く。密くん。“大切”なものから、逃げないで。殺すために恋をして×死ぬために愛し合う僕らの“恋”。僕は初めてそれを、“痛い”と感じた―。


シリーズ4冊目。今回は全編にわたって、バトルの連続。世界を救うためにサクヤを殺しに来た、アダムの操る天使との戦いが中心になっています。
主人公の密がサクヤに殺されるために愛し合うというじりじりした感じが減って、一歩近づき共に戦う戦友みたいな感じになったのが結構好きです。にゃみちゃんが積極的に攻勢をかけたりばりばり嫉妬しているのに、なかなか揺れない主人公はかなり非道だと思いますがね。来夏はもう完全にほってかれるキャラになっちゃったなあ。
あの人がどんな存在であるのかなど、最後に大きな事実も明かされますが、その対立構造がどうなっているのかは未だ不明で、魅力を持つほどではないかな。ラブコメ分が減って、シリアスメインになったことがこの先にどんな影響を与えるのか。密は自分がサクヤに惹かれだして心変わりすることを許せるのだろうか、次の巻が楽しみなところです。単体としてみるとパンチが弱いですが、特に密の心の変化が重点的に描かれ、今後の前振りとしては楽しめる一冊でした。