恋のドレスとつぼみの淑女
恋のドレスとつぼみの淑女 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)
- 作者: 青木祐子,あき
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/12/22
- メディア: 文庫
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青木さんの新シリーズ。前シリーズがどうも肌に合わなくて途中で投げていたんですが、このシリーズは評判がよいので読んでみることにしました。目下発売したときに買った三巻が見つからないわけですが…。
恋のドレスを作ると評判の仕立て屋がお仕事を頼まれた先で、心の謎を解いていく構成になっています。今回はフローレンスが抱える悩みについて。貴族社会に生きる人々と庶民である仕立て屋さんの意識の違いがくっきりと表われていて、面白かったです。
ドレスの作成を通して人の心の謎を解くという作りは謎解きにも相通ずるものがあって、ドレスに込められた思いを考えてみるのも面白いものでした。
家族に対して心を閉ざしているフローレンスの心がどこを向いているのかは結構簡単に分かります。しかし、その後に二段構えで用意されている話にはあっといわされました。終盤でがらっと雰囲気が変わるものの、そこまでの真面目なクリス、気っぷの良いパメラ、偉そうに見えて実は人の良いシャーロックら、メインの登場人物達が作り出す暖かい空気も良し。終盤のダークな雰囲気も適度に物語を締めてくれるものでした。
しかし、その人の心を映し出すドレスを作るとはなんとも素敵な響きです。自分の仕事に妥協しないクリスの姿勢がよく分かります。
クリス自身が抱える問題ともいつか向き合えるといいなあ。