アガルタ・フィエスタ!3

八王子とともに訪れたフリーマーケットで詩奈が出会ったのは動いてしゃべる人形だった。その人形が言うには「私は、女王イセリアの妹で、アガルタのアルシアと申しますの!」アルシアはずっとイセリアを捜していたというが、いざ身近にまで来てみると恥ずかしがって対面できない。そんなアルシアと詩奈はしばらく一緒にいることを決めるが、彼女には秘密があって──。やがて八王子たちの前に現れる屈強な「海の民」の男、謎めいた商人。彼らに導かれ行き着いた海底都市を舞台に、新たな冒険の幕があがる!


ラストにいきなりアレを持ってくるんじゃなくて、少しでも良いからためがほしかったなあ。ということで三冊目。
イセリアと同じように、アガルタドールの中に封じられていた妹との再会。そして、海底都市アトランティスを巡る冒険のお話です。
イセリアと共にいる八王子まどかを思い、自分が一人だけ今いるところに取り残されてしまう不安から、アルシアという同じ存在にすがってしまう詩奈の気持ちが良く伝わってきました。そこからの淡い心の交流からも。最終的にはおいしいところをもっていかれて、主人公二人の絆を深めさせてしまうあたりが可哀想ですが。
また、後半で手のひらを返すように態度を変えた、まるで女王の合わせ鏡のような妹の存在は、あらためてアガルタドールというものがどんな存在であるかということを感じさせられました。長い年月死ぬこともなく、ただただ感情だけがリセットされて、一からやり直しを繰り返すということの怖さを強烈に印象づけたと思います。それ故に歪んだアルシアの思いが、別の歪んだ思いと結びついてしまうあたりもとてもやるせない。
ラストについて。最初にも書いたけど、イセリアとまどかが、再会を誓うところであそこまで盛り上げる演出をしたんだから、息つく間もなく次に放り込むんじゃなくて、暫定的でも良いからエピローグが欲しかった。全体としては面白いものの、そこだけは引っかかるところです。ところでこれ何巻構成の予定なんでしょ?