空と月の王2 約束のカケラ

マユに出会って、一緒に旅をするようになった鎮魂屋の少年トキ。しかし召喚師でありお尋ね者のマユには賞金稼ぎの襲撃が絶えない。ある時、2人組の賞金稼ぎが放った毒針によって、ヒューゴが倒れてしまった…!解毒薬を求めて一人でキダニの街へ行ったマユを心配しあとを追ったトキは、マユを逃がすために宣教隊に捕らえられてしまう。だが宣教隊の隊長ナツキから、彼は驚くべきことを告げられた。トキが見る不思議な夢は『神』の声であり、彼は神の地に住むことを許された人間だというのだ。辺境にとどまってマユとともに旅を続けるか、神の地へ行くかの選択をせまられるトキ。彼の決断は?


前巻出たの結構前で、どんなお話だったかほとんど忘れかけておりました。
戦争によって滅びかけた後、神という存在によって統治された世界。その辺境の部分を宣教隊に追われながら旅する物語。
前巻がトキとマユの出会いを描いたお話でこの巻は続きになるんですが、ある程度世界観が分かって、「神」という存在がどういうものであるのか興味深いところです。
今作では主人公側の掘り下げとして、本人は知りませんが身のうちに抱えているらしい秘密と、右手だけの存在のタマが共にいる理由の一端がちらっと明かされています。それで物語がもう少し盛り上がるかなあと思ったんですが、主人公の取り柄が優しいだけで、戦闘を始めほとんどの面において置いてきぼりにされているのでどうもいまいち。恋愛面においても、ずっと共にいたヒューゴばかりが頼られているので主人公の出番はあまりないですし。タマとの掛け合いが面白いことが唯一の救いか。
四話の宣教隊に追われ、周りのものを犠牲にしてでも、魔物という存在を追い求め続けた「千里眼」の男の話はとても重い。後半のこの話がこの作品の中では良かったです。
また、主人公を追う側である宣教隊の人達の物語が語られているのは好印象。神がどんな存在であるのか、神の土地というのがどんな場所であるのか、また四話にて触れられている魔物という存在について等々がそちらの側からも触れられることによって、興味を惹かれる構成になっています。
この先成長していく主人公は見たいけれど、現状の彼にあまり魅力がないから打ち切りにならないかちょっと心配。