いま、殺りにゆきます

いま、殺りにゆきます (英知文庫)

いま、殺りにゆきます (英知文庫)

深夜の路上で凶徒に遭遇したカップルの恐怖を描く「峠で壊れて」。愛犬の足が何者かにより一本ずつ折られていく「だんだん少なくなっていく」。常軌を逸したイタズラ電話が母子を追いつめる「謎電」。電車内で理由もなく乗客を殴り続ける男、「おら男」。日本ホラー界の第一人者が、徹底した取材を元に日常に潜む恐怖を描いた36話を収録。狂気が支配する、逃げ場のない世界が展開する実話恐怖集。

短編集というよりはショ−ト・ショートという感じの作品。タイトルに惹かれて買ってしまいました。
全体を見ると現実の話を下敷きにして書かれた作品とはいえ、中には都市伝説のように現実離れをしていてあまり身近には感じられない作品もあったのですが、相手が人間であるからこその、現実にある恐怖と気持ち悪さをぞんぶんに味わうことができました。恐怖を感じる相手が紛れもなく人間であるゆえに、いっちゃっている存在を、馬鹿なと笑い飛ばせないのが気持ち悪い。そしてたまにはいっている虫の話などは違う意味で気持ち悪い。さりげなくぞっとさせるような文章が挟まっていて、このあたりの表現は平山さんの描写の巧さがでていたと思います。
全体をみわたすとやっぱ、ストーカー系の作品が多いですね。相手が何を考えてやってるのかが理解不能な作品が怖かったです。「レンタル家族」「M」「みっくちゅじゅうちゅ」がいやぁ。