アスラクライン〈5〉洛高アンダーワールド

クラスの美化委員としてプール掃除に駆り出された智春と操緒は、美化委員長の小動物系美少女、沙原ひかりとともに排水口トラブルの調査に向かった。度重なるトラブルで広大な地下水路に迷いこんでしまった三人は、わざとらしくも奇妙な妖怪たちの襲撃を受ける。絶体絶命のピンチを切り抜けることで、親密な雰囲気になっていく智春とひかり。しかしそこには、第二生徒会の仕掛けた狡猾な罠が張り巡らされていた―。


作者のブログでも書かれていましたが、校正をしっかりしてください。いきなりあそこであの名前が出たからぎょっとしましたよ。
ということでシリーズ5冊目。今回は学校の地下の探検のお話で、今までの面々に加えて、新たに第二生徒会の人間が登場。これまでいた真日和に加えて、気が弱くて小動物のようなひかりと、守銭奴で自分に利するように物事を運ぼうとする生徒会会長倉澤と第二生徒会の新たな登場キャラも個性的な面々ですが、もうキャラクターの把握が少々おっつかなくなりそうです。
沙原ひかりと押しの弱い嵩月が地下でのドタバタ騒ぎのなかで、主人公を巡って繰り広げる弱気なとりあいがつぼに。いや、こういうハーレム系のものだと鈍感な主人公というのは結構いますが、ここまで可哀相に見える主人公もなかなかいないんじゃないかな。
全て倉澤の策謀が裏目に出たことによってドタバタが引き起こされた物語の方は、いつものように比較的軽いノリで流しながらも、全体的にはまた物語の重要なワンピースが明らかになって、これまでの積み重ねが効いてきた感じ。悲劇的な結末を迎えた一巡目の世界が断片的に分かって、そこでも嵩月と関係があることが、大きく動きそうなこの先にどうつながるのかが気になるところです。これまでとは違って作品としてのムードも変わりそう。
杏の出番は諦めました…本筋に絡める立場じゃないし。おまけの短編は嵩月好きにはたまらないでしょうね。