神のロジック 人間のマジック

神のロジック 人間のマジック (文春文庫)

神のロジック 人間のマジック (文春文庫)

ここはどこ?何のために?世界中から集められ、謎の“学校”で奇妙な犯人当てクイズを課される〈ぼくら〉。やがてひとりの新入生が〈学校〉にひそむ“邪悪なモノ”を目覚めさせたとき、共同体を悲劇が襲う―。


仲が悪い両親の元ですごしていたマモルは、少数の生徒と先生が暮らす人里から離れた閉鎖的な学校で生活を送ることになる。ある日新たな生徒がこの共同体に加わることになり、この生活に罅が入りだす…。
序盤の、少人数で生活が営まれていて、犯人あてのクイズを授業の一環として取り入れるという不思議な特色を持つこの学園はどのような目的で存在しているのか?ということに対する少し空想的な個々の考察と、それを踏まえた上での世界が崩壊するような後半のどんでん返しが素晴らしい。物語に対して疑問を抱いた点が全て伏線となっていて最後に結実する様は、例えようもなく残酷で、それでいて疑問が紐解かれる展開はとても心地よかったです。そこで提示された仮説もとても興味深い。作中で提示される犯人あての細かな謎解きに対しても、動機付けの部分からストーリーを提示しているのも西澤さんらしくて面白かったです。
狭義のミステリでみると、語り手も認識できない叙述部分があるので異端というべきものなのかもしれませんが、このだまされる快感はたまらないです。某作に似ているらしいですが、まだ読んでないや。
また、伏線の纏め上げのうまさに、そこを再確認するためもう一度読み返してみたくなるお話でした。ジャンルにカテゴライズしにくい、西澤さんらしいといえる作品。