カーリー 〜二十一発の祝砲とプリンセスの休日〜

オルガ女学院に転校生がやってきた!彼女の名はクリシュナ・パドマバディ=ガエクワッド。なんと大国バローダの第一王女―ほんもののプリンセスだった!!初日からわがまま放題の彼女は、ヴェロニカから特別室を奪い取り、カーリーを自分の召使いにしてしまう。カーリーを奪われたシャーロットは大ショック!しかも新たなルームメイトはあのヴェロニカ!?最悪な寄宿舎生活に、どうするシャーロット?


女学院に王女様がやってくるという第二巻。この巻で女学院編は終了です。
序盤のカーリーとシャーロットのやり取りでぐっとひきつけられてしまいました。シャーロットの発言に一喜一憂して、彼女が知らない言葉で告白の言葉を言わせたり、アヒルに嫉妬しているカーリーの態度に。かわいいです、カーリー。男だけど。
しかし、カーリーとシャーロットがどんな関係に当たるかをカーリーは知っていたんですね。全てを知りながら彼女のことが大好きなカーリーの姿は男らしいです。彼女の視点ではまだ、「一番の友達」のカーリーがパティに取られてしまってやきもきする子供な、シャーロットの姿も魅力的。
今回のメインは王女様のラブストーリーです。いわくありげないいところで切れるプロローグを打った上で、学園のなかで王女様が巻き起こすお祭りのような混乱はとにかく楽しい。文字通り藩王国のお姫様である彼女に寄宿舎の生徒達が振り回される姿、その副産物として今までのいやなやつという印象を覆したヴェロニカとシャーロットの交流が楽しませてくれます。後半に入ると極力表に出ないようになっていた彼女の身を巡っての陰謀の方が首をもたげてくるのですが、自分の身分と立場を自覚した上での、学園生活を夢見ていた乙女である前半部分と違う姿を見せた彼女の決意が清清しい。切なくもあるのですが、自ら道を選び取る姿は気高さを感じました。彼女がやらかす大脱走のために一致団結してコトに臨む寄宿舎の皆の騒ぎも壮大な悪戯を見ているようでウキウキします。
姫様のほうは一応の決を見たわけですが、シャーロットとカーリーの方はいまだに途上。シャーロットももはや子供のように何も知らずにいるというわけにはいかなくなりましたが、二人の関係を含めてこの先の展開が読めないので、途中で終わりということだけにはならないでほしいです。