護樹騎士団物語〈5〉界梯樹のひみつ

守護騎シュペル・アンヴァイールの後方より超音速で近づく白い守護騎ブランデアンジュ。マナーを知らないやつだなど、怒ったリジューだったが、『進路をあけろ!礼儀知らず』という声に相手がミラボー家のビアンだと知る。ふたつの守護騎はいがみ合いながら接触し、もつれあって翔空船のメインデッキにつっこんだが…。


ヒロインが登場して速攻で退場していくので、ヒロインは飾りかよと思いました。騎士団の本拠地に向かう途中で、自分に突っかかってきたビアンと争いになっていたら、運悪くそこで異世界へ物を飛ばす実験をしていてビアンが飛ばされてしまう。その彼女を助けるために行動するということで、入団にいたっていません。
ツンデレっていわれりゃそうなんだろうけど、前巻では普通に見えたのに乱暴になった彼女(最後に理由は明かされますが)を救おうとする動機が、そこまで彼を駆り立てるものであるかどうかが正直理解できないのが残念。相変わらず目の前のことしか見えなくなるし、マゾですな、彼。まあ、ビアンがラストで軽くデレてくれるからいいか。
ビアンを救い出すために救援を求めようとする中で、自分も陰謀に巻き込まれてしまうリジューは相変わらず苦労し通しで、作品の大半は彼の逃亡劇に割かれていますが、守護騎による地上戦もありそちらは読み応え十分。世界の謎の解明とも上手く絡んでいます。
ところで、何で新たな章に入るたびにその直前の説明を一々してるんでしょう。支障があるわけじゃないんだけど、ちょっと気になりました。世界設定の方は歩みはのろいながらも順調に明らかにされていって、そっちの方も楽しみです。黒猫がどんな存在かもわかってきましたし。だけどラストのシュエットの扱いはあんまりだ…いわば彼の命の恩人といえるのに…。