スター・ダックス

スター・ダックス (ソノラマノベルス)

スター・ダックス (ソノラマノベルス)

宇宙を股にかける大詐欺師のショウが師匠の裏切りで警察に捕まりそうになり、ほうほうの体で逃げ込んだ辺境の惑星―そこは犯罪と防犯ツールをセットにして輸出することで効率のいい外貨獲得を目論む、曲者の国王が治める星だった。入国後、あっという間に身柄を拘束されたショウは“優秀な犯罪者”としての資格を国王より下賜され、やたらプライドの高い勅許特級犯士たちを率いて、国家公認の犯罪を実行するため星系外に輸出されてしまう。

次の作品も読んでいるので、近日中には感想を。
詐欺師のショウが、スリの名人のテイラーじいさん、暴力や脅迫と言った力の行使に加え、文学的素養もあるザカール、一流の引きこもりのハッカーのゾーク、隙あらばショウを誘惑してくる誘惑のプロのヴァイといった一癖あるプロばかりのチームを率いて苦労するお話。
ヴィトゲンシュタイン公国で、選ばれた犯罪者としてエリートの地位にいる彼らは一様に自分達の仕事に誇りを持っていて、それを行使することに悪いことをしているという認識がなく(星外でも)行使をまったくためらわない。そんなある意味無邪気と言える彼らをどうなだめて、ある商人の財産を身ぐるみはがす方向に持っていくのかが面白い。相手がある程度だまされる可能性を考えて対抗策をとっていて、騙しあいの様相を呈する中で、どのようにして相手の心理を読んで上手をとっていくのか、コン・ゲームとして面白かったです。中でも詐欺の中心的な立場として相場師の役回りを務めるショウの話よりも、計画の一環としてザカールが経営をはじめることになったカジノ他にまつわる話が好き。
状況が刻々と変わる中で、最後までショウがどんな図を思い描いているのか分からないのと、チーム内の人間関係のほうも不協和音が出てくるのが最後まで引き付けてくれます。惜しむらくはどうも文章がまだるっこしくて、どういう状況なのか分かりにくいところがあるが故に、読みづらいと感じる部分があるところかな。