神曲奏界ポリフォニカ インフィニティ・ホワイト

精霊島学院の生徒となったスノウは、プリムローズお嬢様に誘われ、新進気鋭の音楽家ミナギ=クロードのコンサートへと出かけた。初めてのことに堅くなっていたスノウであったが、演奏が始まるとそれは別の緊張へと変わる。ミナギが自身のオリジナルとして発表した新曲は、なぜかスノウにとって聞き覚えのあるなつかしい曲だったからだ。驚くことはそればかりではなかった。スノウ達の前に、先日の音楽家ミナギがなんと学生として編入をしてきたのである。スノウの前に現れたこの青年はいったい何者なのか。そして、彼に近づくなというブランカの意図は!?


シリーズ2巻目。前巻ではほのめかす程度だったスノウの過去に、関わりのある人が登場して、彼女の過去を掘り下げつつ、現在の問題もおぼろげながら明らかになっていく構成。いいところで物語が切られています。後書きを見るとすぐには出そうにないのが本当に残念。
神曲の演奏者として勝手に選ばれて、とまどいがちだった前巻に比べると、自分の立ち位置がはっきりして、奮闘しているスノウの姿がいい。自分の実力が分からない上に、過去に悩まされながらも、彼女が(ブランカに頼らない)自分の力で精霊を集めようとするなど、今の自分の地歩を固めていくところはかっこいいです。
それに比べてスノウにほかの精霊と契約されたくないと煩悶している、彼女の契約精霊ブランカの姿はニヤニヤしてしまうんだけれども、彼女の過去について肝心要なことをスノウに明かしていないのはいただけないなあ。喧嘩になってしまったスノウが不安になってしまうのは当然だと思うのですが、さて。隙につけ込んだスノウの過去を知っている彼ブランカの排斥以外に何をねらっているのか、高殿さんだからちょっと怖いなあ。
そしてスノウのお嬢様のプリムローズの役割があそこでは終わりでなかったということが、どう関わるのかなあ。スノウ達とのコミカルなシーン以外での登場は少しなのに、そちらはとても怖い、怖い。
ジョッシュと彼との契約を望むリシュリーは本筋にかかわらず(因縁がありそうだけど)、二人で甘い世界でも築いててください。いや、今のままだと独占欲が強い(彼に気づかれないところで、他の契約を望む精霊を排除している)ストーカーとそのことに気づかない被害者という関係だからそんなの無理なんですが。早くジョッシュの所に、契約してくださいと行ってしまえと思いつつも、こんなもどかしい二人の関係も笑わせてくれます。しかし、冒頭でリシュリーの物語が始まった時は何のことだか本気で分からなかった。
リシュリーといいブランカといい、今回は後ろから背を押してやりたくなる精霊が多かったです。