キララ、探偵す。

キララ、探偵す。

キララ、探偵す。

愚図なドジっ娘メイド・キララの正体は最新鋭アンドロイド。ご主人様のためならあんなコトもこんなコトも! 青春メイドミステリー。


アイドルオタクの青年の元に、研究者のいとこから荷物が届いた。中に入っていたのは運用実験中のメイドロボ。かくして、日頃はドジッコメイド、特定部位に触れてスイッチが切り替わるとサディスティックになるキララとの共同生活が始まるのだった。竹本さんの新作は思いっきりオタク方向に振り切った美少女メイドミステリー。
以下キララの特性が軽くネタバレかも知れません。


どんな怪作なのかとどきどきしていたんですが、ミステリー部分はそれなりに作られていました。日常の世話をするキララ=ロボットの記憶力を存分に生かしたアシスタント役で、スイッチが入ってサディスティックになったクララ=それをまとめて一つの推理を行うというキャラクターという一人二役は面白いアイディアでした。人間ではありえないロボットならではの観察力というのが使い勝手が良くて便利。ただ、ちょっとそれに頼るところが大きいかなと思う部分もあります。
肝心のキララのキャラクターは世代の差というものか、ブリっこやドジッコをチョイスしているあたりがギャップを感じさせられました。全体的にどこか懐かしい、少し昔の萌え描写をイメージさせられます。ここまで特化されたキャラクター性の権化というのを、前に押し出されるとくらくらしてきますが。手をグーにして両腕を肘までくっつけて、顔の前に持ってくるとか、てへっといって頭をたたく描写とかね。まあ今のツンデレも似たようなものではあるんでしょうがね。
ナニを致す行為に及ぼうとする際に現れるSなクララの方は、主人公とのセクシャルな方向に踏み込んだ描写が行われているあたりはどこまで描写するのかなーと思っちまいましたが(実際かなりのところまで描写されてます)、主人公を手玉に取るあたりはなかなか食えないキャラクターです。
序盤にロボット三原則を持ち出してきたり、キララの魂のあるなしについての博士との会話などのネタフリがあったので、ロボットと人間の違いについて言及する方向に向かうのかと思いきや、そちらの方には話はいかなかったのは拍子抜け。思わせぶりな言葉とか、作成者も意図していないクララの推理力といったくだりはラストをそちらに収束させるつもりなのかなとも思ったのですが。このあたりも続編があれば掘り下げていくんでしょうか。