護樹騎士団物語6 幼年学校候補生

「聞こえているか」シールマンス校長は、一人一人の顔を見渡すようにして言った。「これから君たちを紛争地帯に連れて行く、と言っておるのだ。いいか。怪我人は一般民衆も収容するから忙しいぞ。その代わり怪我人が運ばれてくるまでは、窓から観戦するのも自由だ。分かったら全員ただちに支度しろ。出航は三十分後だ」


シリーズ6冊目。幼年学校に入校した主人公達は息つく間もなく、北方の大陸で起こったもめ事を処理するために出発した騎士団の団員をサポートするために艦に乗り込み北方へ向かいます。
この作品のお約束みたいになっている、話が遅いこととヒロインとほぼ接点がない状態は相変わらずですが、これまでに比べても面白い。これまでの作品ではリジューが一人きりで絶体絶命のピンチ、何とかそれを切り抜けて未来が開けるというパターンだったのですが、今回は騎士団の仲間とともに危機を乗り越えるということで、これまでとはまた違った面白さがあります。それぞれが抱えている騎士団に対しての思いというのは異なるけれど、有能な隊員達がそれぞれが力を合わせて物事に当たるというのが良かった。自分たちと対立している国家の一族を浄化しようとしている相手の非道さも相まって、すかっとさせる物語運びでした。リジュー個人の性格に関しては、騎士団のメンバーのビアンや、侯爵に誤解で何か言われても言い返せないままで物語が進んでしまうので、ここまでくるともはや笑ってしまいます。
しっかし、恋愛風味があまりにも薄すぎるというか、ヒロイン出すんだったらもうちょっと絡ませてやって欲しいなあ。一冊でほとんど顔を合わせないというのもある意味凄いけれど。物語に関わる女性陣はそれまでの巻でも出てくるけれど、いつもどうしても印象が薄いといった感じを受けます。救援に向かった国の姫とビアンの話は良かったのですが。
ラストで気になる謎を残して先へ…。次はいつの話になるのでしょうか。