SHINO ―シノ― 黒き魂の少女

著:上月雨音 イラスト:東条さかな レーベル:富士見ミステリー文庫
「…おじゃまします」僕のアパートのドアをノックも無しに開け、当然のように無言で部屋に上がり込む彼女―支倉志乃ちゃん。彼女は小学五年生。僕は大学一年だけど、志乃ちゃんがまだ小さなころから知っている。いわゆる幼なじみというやつなのだ。彼女はグリンピースが嫌いなこと以外、おとなしくて全く手のかからない良い子だ。だけど、僕には一つだけ心配な事がある。志乃ちゃんは猟奇的な事件や怪事件にだけ異常に興味を示すのだ。僕は、志乃ちゃんにはワガママでもいいから普通の小学生でいて欲しいのに。けれど、そんな僕の気持ちなんかおかまいなしに、彼女は一人で危ない事件の謎に近づいていたんだ。大学生の僕とクールな小学生の志乃ちゃんが贈る純愛系ミステリー、登場。

この関係を幼馴染みと呼ぶのかについてはまあ置いておいて、富士ミスの新人さんです。富士ミスってコトでミステリーは期待してなかったんですが、ミステリーとしては犯人がなぜ分かったかが書いてないんで、わりと致命的。連作短編みたいな構成になっているんですが、方向性を絞り切れていない分消化不良気味なところはありました。ホラー風味の破滅や虚無思考が好きな方や、黒い中にもかわいらしい言動があるヒロイン志乃がストライクゾーンの方であればどうぞ。正直、ポエムみたいになってる部分や現代に対する主張はもうちょっと少ない方が…
志乃がこの後主人公に対して態度を変えるのかどうかが気になります。