紺碧ノたまゆら

著:神代明 イラスト:岸和田ロビン レーベル:集英社スーパーダッシュ文庫
呪われた土地を巡るホラーサスペンス!
悪夢から目覚めた直哉の体には覚えのない傷が残っていた。その傷は白道瑠璃に近付くとなぜか反応する。彼女は地元で『姫様』と呼ばれるが、近付く者は死んでしまうという噂が流れていた。傷と悪夢と、相次ぐ殺人と自殺事件に瑠璃が関係しているのか!?

神代さんの新作。伝奇ホラーもの。
その目を見たものを死に誘う黄泉の目を持つ女の子を中心にして、次々に残酷な事件が起きる話です。
伝統の家に生まれ、黄泉の目をもったヒロイン・瑠璃の絶望が丁寧に描かれていたと思います。その部分があったので、そこからその目の影響を受けなかった主人公との結びつきが生まれていく過程も良かったと思います。
殺人事件の方もミスリードが仕掛けてあって、割かれていた部分が少ないけれど、構成がそれなりにしっかりしていたという印象でした。
それだけに、最後の主人公は物語が始まったところで、もう死んでいてその体に神体である黒洞の精神が代わりに入っていたという終り方にはどうももやもやするものを感じました。ホラーとして、人の死が絡んでいる割に、軽い部分があり、終り方が明るすぎる感じがするのが不満。