侵略する少女と嘘の庭

侵略する少女と嘘の庭 (MF文庫J)

侵略する少女と嘘の庭 (MF文庫J)

著:清水マリコ イラスト:toi8 レーベル:MF文庫J
早川牧生はK中学の2年生。幼なじみである裕貴、唯、琴美と、惰性のように4人で過ごしていた。ある日牧生は、「運命の相手」を見つけるという占いをさせられる。その占いで細工をした牧生は、いるはずのない「運命の相手」を探しに学校の裏庭へと向かうことに。そこにいたのは、校内でも有名な美少女だがクラスに馴染まない不思議な少女・中山りあだった。牧生たちのグループに加わったりあは、夜に部屋に押しかけてきて泊まっていったり、みんなで出かけると嘘をついて呼び出したりと牧生を振り回す。小さい頃には結婚の約束をするほど仲の良かった4人の関係も、だんだん変化していくが―。切なくも優しいファンタジックストーリー。

嘘シリーズ三冊目。前二作もそれなりに好きなんですが、これは本当に良かった。ストレートな青春物語の部分が多めで、とても満足。
大人にはまだなれず、さりとて何も知らない子供ではない中学生達の部分を見事に切り取った作品と感じさせられました。この人間関係の雰囲気というか、空気の描写がほんとに上手い。こんな少年時代や幼馴染み達が欲しかったなあ。
牧生とりおの関係を中心に進んでいく本筋では、悪魔と呼ばれるただの意地悪な少女にしか見えなかったりあの、素直でかわいらしい内面が段々と見えていく様がもうたまらなかったです。二人で幼い頃のまま残されていた傷を埋めていく過程も最高。優しいお話でした。
微妙に登場キャラクターが前の作品とリンクしているのもうれしいなあ。
この系統のちょっと不思議を混ぜた作品を是非また読みたいです。