イリスの虹2 ミス・ミステイク

イリスの虹〈2〉ミス・ミステイク (電撃文庫)

イリスの虹〈2〉ミス・ミステイク (電撃文庫)

著:七月隆文 イラスト:平野克幸 レーベル:電撃文庫
平凡な高校生・唐崎省吾との共同生活を始めた、虹色の瞳(オパルス)を持つ少女・入州 帚(いりすほらき)。人並みの幸せをかみしめる帚の前に現れたのは、神話世界の住人“ミス・ミステイク”だった。彼女の撒く“失敗の羽根”は人々に取り憑き、やがてその羽根が発動するとき、人はありとあらゆる行為に“失敗”し、破滅を迎えてしまう──。“ミス・ミステイク”に闘いを挑む帚だったが、その胸には既に“失敗の種”が植え付けられていた。省吾の身を案じる帚は、省吾を突き放し、一人で闘う決意を固めるが……。


シリーズ2作目。主人公と共に暮らすようになったイリスの元に、人間の行動を失敗に導き、やがては死に到らせるという新しい敵が現れる、というお話。
前半のイリスが戻るべき日常の描写としてのコメディ部分が少々暴走しているきらいはあります。舞花のシリアスパートが間に挟まっている分だけ余計にそう感じるのかもしれませんが。加えて戦闘シーンがイメージしにくかったところもありました。
その面はあれど敵のミス・ミステイクに失敗の羽根を蒔くために無理矢理加担させられ、従兄弟の誠一を思い描いて心の頼りにしていた舞花の心が段々と虚ろになっていく姿や、イリスと省吾の別離と再会の辺りの描写は流石といったところ。省吾に共にいるという決意を語られた後の自転車でのシーンは素晴らしいです。
省吾との問題も残ってるし、イリスの正体を始め、まだまだ伏線は残ってるのでこの先があれば楽しみ。また、周りの人を巻き込む形で話が進んでいき、自分達だけが世界のために特別に戦っているという形にならなかったので、この先どう折り合いをつけていくのかもひとつのポイントな気がします。
結果的にかませ犬のポジションにしかなれない川合さんは残念でした。


ところで電撃hp41号に載ったAstralの短編も読みました。幽霊と交流する話は、現実の世界みたいにつながりを保っていられないと分かっているから切ない。この何とも言えない優しい空気がほんとに好きです。柚はパワーアップしてて怖い。なぜ分かる。
ドラマCDだけじゃなくて、やっぱ文庫の方も続きだして欲しいなあ。どうかお願いします。