スタジアム 虹の事件簿

スタジアム 虹の事件簿 (創元推理文庫)

スタジアム 虹の事件簿 (創元推理文庫)

著:青井夏海 イラスト: レーベル:創元推理文庫
いつも優雅なドレスに身を包み、綺麗な靴を履いて観客席に現れるおっとりした女性・虹森多佳子。超弩級の野球音痴でありながら、なぜかプロ野球球団・東海レインボーズのオーナーを務める彼女は、奇妙な謎を次々と解決に導く才能も持ち合わせていた!安楽椅子探偵の冴え渡る推理と、優勝の夢に向かって疾走する万年最下位球団の奮闘を描いた、値千金の愛すべき本格ミステリ


野球ミステリというよりも、野球場で事件について推理する安楽椅子探偵ものといった趣です。連作短編なんですが、前の短編の登場人物が文中に出て、にやりとする部分もあり。野球場の試合風景が描写されていて、その中のプレーが事件解決のヒントになるのが野球好きとしては面白いです。あんな珍しいプレーは中々みられませんが。
また探偵役のオーナーが野球音痴の人で、第一話なんかはそれが遺憾なく発揮されていて、無茶苦茶笑ってしまいました。作品の筋とは別にオーナーと球団についての話もあり、そちらの方も最終話で綺麗にまとまっていたのが好印象でした。
日常系ミステリと呼ぶには少し殺伐とした話が多いですが、すきっとした後味が魅力。最終話の「ダイヤモンドにかかる虹」が一番好きです。