メイド刑事

著:早見裕司 イラスト:はいむらきよたか レーベル:GA文庫
「お気をつけくださいまし。密売物のトカレフは、出来が悪うございます。暴発でみなさまのお手を吹っ飛ばしかねません」小柄な華奢とも見える少女からそのセリフが出た次の瞬間、侵入した三人の賊は急所を一撃され、地面に転がっていた。その場に立っていたのはただ一人、警察庁長官・海堂俊昭邸付きのメイド、若槻葵17歳。普段は国家特種メイドとして海堂邸で働いているおとなしい少女だが、メガネの奥に隠された正義の魂が燃え上がるとき、重合金製のクイックルワイパーがうなりをあげる。警察庁特命刑事若槻葵。人呼んでメイド刑事参上!「悪党ども、冥途が待ってるぜ!」


スケバン刑事風メイドストーリー。捜査のために、他の家に潜入して戦うメイドさんが主人公。
細かい設定に粗があったり、古臭く展開に意外性が無いところがあるんですが、時代劇風の勧善懲悪の物語として読めば楽しめました。メイドとしての誇りを守りながら、捜査に赴くヒロインはかっこいい。クイックルワイパーを振り回し、桜の代紋を見せつけ、冥途の一里塚を地面に突き立てるヒロイン。メイドとしては忠誠心が強すぎて、言動がちょっと差し出がましすぎる気もしますが。
でも、こちらが絶対的な正義なので仕方ないとはいえ、3話目の敵に対する扱いの差をはじめ、敵の扱いがあんまりといえばあんまりじゃないかという気もします。
中森明菜を始め随所に80年代の香りが漂っているらしいのですが、あまり分かんないです。作者の主張する「燃え」のストーリーであることはよく分かりましたが。