届かぬ想い
- 作者: 蘇部健一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/04/06
- メディア: 新書
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小説家を夢見ている小早川嗣利は、美しい妻と可愛い娘に囲まれて幸せに暮らしていた。だが、ある日娘が誘拐され行方不明となる。やがて、生まれた二人目の娘も不治の病に…。重なる悲劇に意気消沈する嗣利は、幸せな家庭を取り戻せる方法があると知る。愛する娘のため、それを試すが思いもよらない結末が!?時を超えられるなら、愛する人を助けますか?たとえ何が起ころうとも…男は娘のため、時を超え遠い世界へと旅立つ。
家族を救うために男が時間旅行に旅立つ切ない話と思いきや・・・というお話。タイムトラベル物です。
タイムトラベルのシステムを説明しなければならないから仕方ないとはいえ、セリフが説明の様な部分が多く、違和感があるのがちょっとなあという感じ。
物語が読者を驚かせるどんでん返しのためにある様なものですが、念入りに伏線を敷いて仕組まれたネタは途中までは分かっても、完全には正解にたどり着けませんでした。
ハインラインの「夏への扉」のセリフが扉のところで引用されてて、さもありなん。
序盤の家族のラブラブ描写から転じる展開は主人公の男が受け身で節操なさ過ぎなのが招いたことなので、自業自得とはいえ、父親との結婚を望む娘の美香=後妻の百合子の執念というのは怖いものでした。しっかし、「届かぬ想い」の意味をよくよく考えてみると本当に後味わるいわぁ。イラストとのミスマッチが逆に素敵。