殺×愛 0 ―きるらぶ ZERO―

殺×愛 0 ―きるらぶ ZERO― (富士見ファンタジア文庫)

殺×愛 0 ―きるらぶ ZERO― (富士見ファンタジア文庫)

著:風見周 イラスト:G・むにょ レーベル:富士見ファンタジア文庫
待っていたよ―きみを。僕は微笑む。僕の心臓を剣で貫いた、対天使兵器の少女に。それでも死なない僕に驚く、サクヤと名乗った彼女に。それから、用意していた台詞を囁く。「僕と恋愛をしよう。世界を救うために」ある日突然始まった、世界滅亡。“天使”と呼ばれる謎の存在が、人も街も壊してしまうのが、今の現実。そして、世界滅亡をふせぐ方法はただひとつ。とある事情で不死身の僕、椎堂密が、相思相愛の相手に殺されることだけ。僕は待っていた。僕は殺しに来るはずの、対天使兵器のことを。僕の“本当の望み”を叶えるためには、その力が必要不可欠。だからサクヤに恋を囁く。『僕を殺したいだろ?』と繰り返
す。彼女を縛りつけ…利用するために。殺すために恋をして×死ぬために愛し合う―これはそんな風に、世界を救おうとする恋物語


天使というものによって人々が「回収」され、終りゆく世界での不死身の少年と世界を救う為に彼を殺しに来た少女の恋物語。の前日譚的なお話。これ買ったの10ヶ月前か。
あらすじに出てくるヒロインが出る前の話なので、この作品自体が全体の序章なんでしょうな。序章といっても終りに向かう世界に暗く漂う閉塞感と、それに負けずに生きる姿が現れている筋は良くできていたと思います。その尊と凪紗のお互いが好きあっているのに中々素直になれず…という王道を行くベタベタな恋物語のラストに用意される結末がこの話らしいですが。
この物語がどんな終り方を迎えるのか、そして物語のそこここにちりばめられた謎がおもしろそうなので、早急に積んである続きを読む所存。
自分の身の回りの世界を守るために、天使と戦い、時にはその体を与えてやる壊れかけた主人公の、無意識の気取った姿を受け入れることができるかどうかが、大きな境目なのかなと思います。半ば自分に酔って、周りに対して冷淡なスタンスのキャラクターは好き嫌い分かれそうですね。個人的には彼が押し込めている本音をこぼしたところは良かったです。しかし、幼馴染の来夏の好意に対してあそこまで鈍感なのは装っているようにしか見えない。ベタなキャラだけど、来夏頑張れ。