殺×愛1―きるらぶONE

殺×愛1―きるらぶONE (富士見ファンタジア文庫)

殺×愛1―きるらぶONE (富士見ファンタジア文庫)

著:風見周 イラスト:G・むにょ レーベル:富士見ファンタジア文庫
僕は“世界”を滅ぼしている。僕のせいで天使が滅茶苦茶に壊す、僕の住む街。僕のせいで死んでいく人達。椎堂密という存在は、罪悪でしかない。それでも僕は生きることを選ぶ。騙して、偽って、何を犠牲にしてでも、“あの人”と再び巡り逢うと決めたから。なのにきみが、僕の中にノイズを起す。契約で僕と恋をするサクヤ。僕の望みを叶える道具でしかない、対天使兵器の少女。迷いのない彼女の瞳が、僕のココロに、不協和音をかき鳴らす…。でも。サクヤに世界は救えない。―僕を殺すのはキミじゃないから。壊れかけた世界の片隅で。世界を滅ぼしながら死ねない僕と、僕を殺して世界を救いたいサクヤの恋は続く。これは二律背反にして、唯一無二の、世界を揺るがす恋物語


天使と戦うために生きてきたサクヤが、僕の周りの日常に仲間として加わっていく姿を描いたシリーズ2作目。ベタなストーリー展開は先が予測できてしまうけれども、それによって変わっていく不器用なサクヤの心の動きがこの作品において一番のポイントじゃないでしょうか。
健気な幼馴染み、主人公に依存している猫少女、壊れかけた妹等々、これだけ様々な属性を揃えたヒロイン達を作中に用意する作品も逆に珍しいような気がします。鈍感なくせにモテモテな主人公に殺気が。
中学生で不死になってしまった為に性格が曲がってしまった青臭さを印象づけたいんだろうけれど、ここまで壊れてるを主人公の口から連呼されると、ちょっと鼻につくなあ。ただ、偽悪ぶっているが本当はまっとうな人間の感性もある主人公の心の変化の部分は注目したいところです。
作中で挿入される色々な過去話の現在との落差が印象的でした。