天気晴朗なれど波高し。

天気晴朗なれど波高し。 (コバルト文庫)

天気晴朗なれど波高し。 (コバルト文庫)

ルトヴィア帝国で代々海軍提督を輩出する名門ギアス家の三男として生まれたランゾット。一見ひ弱そうに見えながら頭脳明晰の彼は小説家志望だったが、海軍への入隊は本人の意志に関係なく決められていた。士官候補生としてジュリエンド号に乗る前夜、彼は酒場で乱闘に巻き込まれる。そこで出会った同じ海軍士官候補生の男とは!?流血女神伝の姉妹編は、愛と笑いと冒険の青春海軍コメディ。


須賀さんの流血女神伝の外伝。
本編の方は砂の覇王の途中のぐだぐだで挫折したんですが、こちらのテイストはどちらかといえば男ばかりだし、「天翔けるバカ」に近いものがあって楽しめました。ただ、作品的には船上での日常生活を描いたコメディだけでなくシリアスな部分も強いですねえ。
新米の士官としての船上での日常生活から一転、船長の死で暗雲が立ちこめてという暗そうな展開でも、あまり悲愴な感じはしません。きっと名門の御曹司である主人公の造形が人にいばったり物にこだわる様なものではない、有り体にいえば変人なのが大きいと思います。どこか突き放したように物事を見る彼と、相棒の親身で陽気なトルヴァンとのとんちんかんな掛け合いも笑わされました。
話の筋の方もどんどん変わる展開が魅せて離さない作品でした。