天気晴朗なれど波高し。
- 作者: 須賀しのぶ,船戸明里
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2002/11/29
- メディア: 文庫
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須賀さんの流血女神伝の外伝。
本編の方は砂の覇王の途中のぐだぐだで挫折したんですが、こちらのテイストはどちらかといえば男ばかりだし、「天翔けるバカ」に近いものがあって楽しめました。ただ、作品的には船上での日常生活を描いたコメディだけでなくシリアスな部分も強いですねえ。
新米の士官としての船上での日常生活から一転、船長の死で暗雲が立ちこめてという暗そうな展開でも、あまり悲愴な感じはしません。きっと名門の御曹司である主人公の造形が人にいばったり物にこだわる様なものではない、有り体にいえば変人なのが大きいと思います。どこか突き放したように物事を見る彼と、相棒の親身で陽気なトルヴァンとのとんちんかんな掛け合いも笑わされました。
話の筋の方もどんどん変わる展開が魅せて離さない作品でした。