眠れる女王―ラクラ=ウリガに咲く夢

精霊の恵み失われ「花枯れ」の進む大陸ラクラ=ウリガ。唯一、眠れる女王の夢のみが、かろうじて精霊を繋ぎとめている。花学者の青年グラド=ロゥは、ある日女王の秘密の寝所に案内される。そこで見たものは女王サユヴァの腹を苗床にした、赤く大きな花の蕾―。サユヴァと親しかったグラド=ロゥは、この異変の謎を解く手がかりを求めて単身旅に出る。しかしそれを妨害する勢力の魔の手が、彼に迫ってきて…。


鷹野さんの作品。研究以外のことについてはまったくダメダメな花学者グラドとしっかり者の助手のサユヴァのお話と、グラドが問題解決の為に過去の女王を探す旅が描かれています。
この二人の幸せな過去の話と現在の話が交錯するので、より現在のグラドの必死な姿が浮き彫りになるのが良かったです。また、必死であっても元々が天然ボケなので、どっかぬけてる姿も面白かった。
問題の解決の仕方はちょっとご都合主義な感じもするんですが、ラブストーリーとしてはいいんじゃないでしょうか。
女の子が女王に選ばれ、その夢の中で唯一この地に残った精霊を遊ばせて、この世界につなぎ止め、世界の花を絶やさないようにしている世界観が独特で、一読ではいまいち分かりにくいところが難点でした。