イコノクラスト3

イコノクラスト (3) (MF文庫J)

イコノクラスト (3) (MF文庫J)

異世界に救世主として召還された高校生・省吾は巨大兵器イコノクラストの「御者」として「代行者」をなんとか倒し続ける。周りの期待に応えるべく戦闘訓練に明け暮れる省吾。しかし救うべき民族をも巻き込んだ前回の凄絶な戦いは、彼の心と体を想像以上にむしばんでいた。そして四体目の「代行者」の出現で新たな局面を迎える。省吾とともに異世界へと来てしまった従妹の花梨やメリニたち五人の姫巫女の想いが錯綜する中、省吾の異変を察知した秘密結社「レネゲイド」は恐ろしい行動に出るのだった。


イコノクラスト三巻目。
いよいよ、影の部分が牙をむいてきました。人を救う「英雄」であることの負の面にとらわれてしまった省吾を、レネゲイドが働かせるために花梨を誘拐します。
前々からそのことは示しているんで、ショックというものはないんですが、救うべき人を殺したことで吐くほど精神的に追い詰められてる省吾に対する仕打ちとしてむごい。花梨へのこれ以上のなにかも示唆されててうわぁという感じ。
そして、話が進むにつれての省吾の壊れ方の描写もすごいです。救世主とあがめる裏で行われている中には、きっとこうなんだろうなと分かるけれども、分かりたくないものもあり鬱、鬱。省吾達の食い物に混ぜてるのはアレだよなあ。
この巻だけ取り上げてみると、ちょっと話の進みが遅いのもあり、相次ぐ鬱描写におなかいっぱいという感じでした。
この先人質を取られ、壊れかけた省吾がどうなるのかはとても気になるところ。また彼を上手く操るためにつけられている姫巫女達、特にメリニに、元々の感情と相克して主人公を思いやる気持ちが表われてきている心理の変化も楽しみです。
しかし、もうちょっと明るい展望は無いものか。