魔法薬売りのマレア 千日カゲロウ

とある時代のとある大陸。竜が引く小屋“竜車”で旅をする兄妹がいた。名はミソギとマレア。兄のミソギが大好きなマレアは怪異を払うことができる13歳の“魔法薬師”。あるとき立ち寄った村で、夜になると村全体が死者で溢れかえるという怪事件の調査を依頼されるが、そこには予想もしない真相が―!?マレアの魔法薬でミソギの呪われた血が解き放たれるとき驚きの真実が明らかに!


寡黙で素っ気ないが妹思いの兄ミソギと、マゾヒスティックな愛情を兄に抱いている妹マレアが旅の途中で出会う事件が三つおさめられています。
それぞれの話は漫画の蟲師を思い起こさせる様な、哀しい色を帯びたストーリーですが、バランスとして完全にシリアスに傾く感じでは無いのは良かったんじゃないかと思います。ただ、掛け合いの部分との落差がすこし大きいかも。
彼らが旅人であり特別であるということが、話に登場する村の人達との対比になっていることが印象的でした。他人に対する想いが報われないようなストーリーは本当に哀しい。
お互い物理的な過去の秘密を引きずった状態なのに、明るい掛け合い(ほとんど妹のちょっかいですが)を繰り広げている兄妹の姿が、この先も見たいと感じさせられます。
単体としては、少女の淡い恋物語を描いた表題作の「千日カゲロウ」が良かったです。絵になりそうなラストは切ない。