嗅覚異常

嗅覚異常 (祥伝社文庫)

嗅覚異常 (祥伝社文庫)

神経内科の女医植田理歩は、大学院生富坂から研究協力を依頼された。富坂の恋人夏海を対象にした研究のテーマは、嗅覚障害。匂いのメカニズムの解析が目的だ。ところが、理歩が研究室を訪ねた夜、実験用のウサギが殺される事件が発生、何者かの尾行に気づいた。やがて夏海も失踪し…。匂いに過敏になりすぎた現代人の陥穽を衝く、気鋭の新感覚ミステリー。


嗅覚異常と脳の関係を元にした中編ミステリー。
この方の作品は初めて読むんですが、入りの文章が唐突でどうも分かりにくかったです。これは祥伝社の文庫書き下ろしの中編小説という形をとっているゆえの、尺の短さというのも大きいと思いますが、どうも話をつかむのが面倒です。
条件が限られている上に、選択肢が微妙なので、物語の謎の方は結構簡単で、あっけないものでした。
動機の方はそれに比べると一捻りしてあるのは面白いとは思うんですが、作品のテーマに持ってきたものに比べると、精神の病に近くしっくり来ない感じがします。どうにも無理があるようで。このように科学を中途半端に持ち出すんであれば、もうちょっとキッチリした話を読みたかったなあ。