涼宮ハルヒの憤慨

涼宮ハルヒの憤慨 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憤慨 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒが暇を持て余してたらそれこそ天地が逆になる騒ぎだろうが、むやみに目を輝かせてるのも困った状況ではある。それというのも生徒会長なるお方が、生徒会はSOS団の存在自体を認めないなどと言い出しやがったからで、意外な強敵の出現にやおら腕章を付け替えたハルヒ“編集長”の号令一下、俺たちSOS団の面々はなぜか文集の原稿執筆などという苦行の真っ最中なわけだ。天上天下唯我独占「涼宮ハルヒ」シリーズ第8弾。


ハルヒたちが文芸誌を作るお話と、同級生の犬の周りであった不思議な事件の中編2本を収めた作品。
アニメ化されて人気急上昇中らしいですが、アニメ化って当たればすごいなあ。以下感想をつらつらと。
文芸誌の方は、孤島症候群のように事件を引き起こして、ハルヒを紛らわすというもの。SOS団のメンバーが書いた作品が作中作として出てくる構成は面白いですねえ。フォントも変えてあるし。
長門の小説は暗喩が含まれているようなんだけど、分からないなあ。自分を表したもののようだけど、集合体の意識の中からの独自性の発達を抽象的に捉えたものかしら。3話目はほんとにさっぱりでした。作中作の中ではミステリ仕立てにしてあるキョンの小説が面白かったです。また、面白いと形容されてる、鶴屋さんの作品がすごく読んでみたい、というかどこまで万能なんだ。
二話目は新年度を迎えるにあたり、新たな段階へのステップという印象も受ける作品。思えばシリーズの序盤に比べると、団の中の空気もずいぶん変わったと、再確認させられる作品でした。無機生命体と人間に関する考察が面白い。
ハルヒキョンに対する好意もかなり分かりやすい感じになってきてニヤニヤ。水準程度の面白さを保った作品でした。