殺×愛2―きるらぶTWO

殺×愛2―きるらぶTWO (富士見ファンタジア文庫)

殺×愛2―きるらぶTWO (富士見ファンタジア文庫)

5年前、僕は死んだ。椎堂密が、オメガという存在に変質した―世界滅亡の始まりに。普通に学校に通い、幼なじみに淡い恋をしていた、そんな部分は全部、死んでしまった。オメガたる僕が抱くのは、僕を殺してくれる“あの人”への想いだけ。だから、自分に言い聞かせる。対天使兵器の少女・サクヤ。契約で僕と恋する彼女との日々は、紛いモノに過ぎない、と。本当の望みが叶うまでの偽りの代替品、気休めでしかない、と。死ねない僕と、僕を殺して世界を救いたいサクヤは、今日も“恋”をする。でも、それは―決して“幸せ”であるはずがない、世界を欺く恋物語


きるらぶ3冊目。
戦闘しか知らなかった少女が、壊れかけながらも演じられている日常に感化され、それを守ろうと変わっていく姿が初々しいです。交換日記を章と章の間に挟むことによって、一歩一歩お互いが近づいてきているのも分かるのが面はゆい。偽悪ぶってる主人公も段々とヒロインに惹かれていってるのがよく分かります。話はそんなに進んだ感じではないけれども、日常の1ページと題するのがふさわしい様な、笑いと幸せにあふれた感じでした。これぞラブコメ。刺されるけど。トリックスター高天原先輩のキャラクターが面白かったです。
だからこそ、そういった甘々の空気を打ち砕く終盤の話がどうにも好みでは無かったです。傷の舐め合いとはいえ密の心の動きを映した後に、哀しく苦い罪を背負わせたのは、この作品の宿命といわれるとそうなのかも知れませんが。
ラストで、物語が変わる宣告がされて、さてこの先どうなるか。